多目的宇宙プラットホームに装備する砲台機(鈴藤 瑞樹)

宇宙での戦いが、始まろうとしていた。
いまだ戦いの傷も癒えぬまま、急ピッチで進められる多目的宇宙プラットフォームの開発。
その中でも敵機迎撃を目的とした砲台機の開発には、技術屋たちの知恵と、戦場を経験した兵士たちの戦訓が大いにいかされることとなった。

開発中のプラットフォームは、かなり大規模なものになることが予想されていた。
巨大化が進めば、自然と死角も多くなる。それらをすべて潰すには、膨大な数の砲台が必要になると思われた。
だが、それほどの数を配備する予算はない。戦争は、あらゆる国の資金を容赦なく喰らい続けていた。

そこに、一人の男が立ち上がった。
一介の技術屋にすぎないその男は考えた。
配備できる砲台数が決まっているのなら、あとはその中での最善を探すしかない。
ならばどうするか。男は言った。
「砲台を移動できるようにすればいい。一機当たりのカバーできる面積が広がれば、十分に対応できるはずだ」

この発想は即座に採用された。
プラットフォームの表面へ無数のレールが縦横に張り巡らされ、その上を対空レーザー砲を搭載した無人小型車両が時速数百キロメートルの高速で移動する。
必要に応じて管制室からの遠隔操作を行ったり、緊急の際には人が乗り込んで操作することもできる。
理論的に死角のない、対空迎撃システムの完成だった。

実機の製作についても、少々笑えない逸話がある。
レーザー砲を載せる専用の装甲車両を作ったが、資金面の問題からどうしても数が足りなくなった。
そこで廃棄された民間の車両を回収、修理して使ったり、善意から車両を提供してもらったりといったことがあったそうだ。
なかでも大型のトラックは大きな改修を施すことなく運用できたこともあり、かなり重宝されたのだという。

かくして、一人の男の思いつきから生まれた機動レーザー砲台が誕生した。
いまだ名を持たないこのシステムが活躍するのは、もう少し先のことである。

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